新刊チラ裏『アフターダーク』編

改めて浅トラ…そして赤トラお疲れ様でした。本当に楽しかったっすね……翌週にはロス気分を振り切って別ジャンルの原稿をしていたわたしですが、本当に本当~~に楽しかったです。

ジャイキリ沼は本当にいいジャンルだし、この沼で本当に何度も、好きでよかった、書いててよかったと噛み締めるような幸せな思いをさせてもらいました。今回の赤トラもそのひとつです。

あれだけたくさんのサークルさんが協力して下さるなんて思いませんでした。我が赤崎好きの生涯には一辺の悔いもないが、まだまだ書きたいものがあるのでこれからも書き続けたいと思います。

さて新刊のチラ裏ですが、今回は合同誌です。

神マンガ描きのかいとさんと合同誌は何度か出してましたが、今回は神小説書きのはるさんとの合同誌で…って書いただけでワイのジャイキリ沼人生恵まれすぎてない?と思うよねほんま 

前世の自分、誰だか知らんけどありがとう!相当徳積んだでしょ…知ってんのよ。

小説での合同誌というのは自身初でもあるのですが、この本は(もう色んなところで何度も言ったけれど)わたしが遊びで書いてどこにも出さずに放置していた赤崎がニートになる短編を、はるさんに「こういうのを書いてみてた」って話したところその続き(本編でいうところの2「飼い犬の帰還」)を書いて送ってきてくださり、そのお話に触発されて書きかけだった1「墜落」に手を加えて送り、更にはるさんが続きを書いてくださり…という感じに、足掛け3年にわたり交換しながら行われたリレー小説です。

途中展開に行き詰まったり、続きが書けなくて悩んだ時期もありましたが、最後まで描き切れて本当に良かった。

(以下はネタバレありの反省会になりますので未読の方はご注意です)

全編、それぞれに送られてきたものを読んで、その続き(か、その前)を書いて相手にメールなどで送る、って感じでリレーしていったものです。本にするにあたり若干の加筆修正はありますが、ほとんどはそのままの形です。

書いている最中は、二人だけの楽しみという感じで、公開する予定は特にありませんでした。完結してから、「せっかくだし…」と本にすることになりましたが。

1と2と勢いで来たのですが、3をはるさんにいただいた時点で、「これはこのまま続けていくと、かなり壮大な話になるのではないか?」ということがなんとなくお互いに薄々見えてきて、はるさんとこの後の展開をどうしようか、という話を…確か何かのイベントではるさんが泊まりに来て下さったときに?した覚えがあります。

そのときざっとした展開…プールに行く(外に出る)→そこに世良と椿が待ち伏せしてて鉢合わせ赤崎嘔吐・衰弱→達海さんが助けにくる までを二人でプロット決めしました。

どん底からの救済については二人で頭を悩ませていた時、

「こうなってしまうともうどうしようもないよね…」

「でも、達海さんだったら…」

「そうだ、達海さんなら何とかしてくれる」

と、まるで仙道に期待のまなざしを向ける陵南の控え選手たちのように、この閉塞した状況を打ち破ってくれるのは達海さんしかいない、と二人で話したことが印象に残っています。

それと確かはるさんから3をいただいて、わたしが4を送るまでの間に、半年ほどのブランクがあったと記憶しています。その間、ずっと悩んでいたのが「どうやって世良を赤崎に会おうとさせるか」でした。

ジーノと赤崎に拒絶され続けても、椿はひたすらしつこく会いに行こうとするところが想像できるんですが、どちらかといえば世良は、赤崎の気持ちが理解できてしまうだけに、強引に会いに行かせる場面に繋げるのが難しくて…世良の行動原理を悶々と考えていて、時間が経ってしまったんですよね。

そんなときにふと、「この話の世良はわたしなんだ」ということに気づきまして。

自分でニートにしてしまった赤崎を、わたしは当初特に救いたいと思っていませんでした。だからこそ、はるさんに救い上げてもらうまで続きを書こうとも思っていなかったわけですけれども、いざ赤崎を救わなければ、という段になって怖じ気づく自分が、そのまま世良の心理なんだ…ということと、だからこそ、この赤崎を救わなくては自分は(書き手として)成長できないのではないか、という風に思えたのが、わたしの中ですごく大きな転換でした。

最初の場面からわたしはずっと世良に自己投影して描いてきたので、世良が「泣いているのは赤崎ではなくて俺だ」「赤崎の敗北は俺たち全員の敗北で、それを同じアスリートとして許してはならない」と考えることができたことがとてもよかったというか…。

あの場面を書くことができて、本当によかったなと思います。

達海さんに救い出されたあと、赤崎が最後どうなっていくのかということは、二人できちんと決めませんでした。ジーノとの関係がどうなるのかも。

はるさんと旅行(越後湯沢)に出掛けたとき、病院で赤崎が目覚めるところから、退院後世良に電話するところまでを書いていただき、続きを自分がどうまとめていくかと考えたときに、「サッカー選手には戻れないけれど、サッカーの上手いお兄さんとして(赤崎が元選手と知らない)子どもと接する赤崎」をラストに持ってきたいなというイメージが湧きました。でもあのオチに行きつくまでは結構迷走しましたね…。

ジーノをどうするか、というのも…引退して記者として赤崎に会いに来るとか、色々考えていたのですが、あの形にできて良かったなと思います。

赤崎は、選手という立場を離れてもサッカーという競技を心から愛していることは原作にも描かれている通りなので、最終的に、やはりこの競技を愛している一人の人間に立ち返る、という終わり方が選べて本当によかったなと…。

ジーノとのその後は、皆様好きにイメージしていただいて結構です。わたしの中では、あのスタジアムでの邂逅によって赤崎がジーノを赦す、というところで二人の関係は完結するイメージですが、二人が再び同じ道を歩き始めるという形もありだと思います(自分では書かないけど)。

はるさんと二人で紡いできたからこそ完結できた物語ですから、自分ではあそこまでで終わらせるつもりですが、他の方のイメージが介在することに一切抵抗はありませんので、続き考えたよ!という方がいたら何でもご一報ください(どさくさ)

何にせよ自分の中で本当に大きな意味を持つ物語になりました。

はるさんのお力を借りてここまで描き切れたことに、改めて感謝したいと思います。読み返すと、はるさんの文章が本当に美しくて…(文章から湧き上がるイメージとしては、プールで泳いでいるときの描写がとても好きです)わたしもこんな風に書けるようになりたい、と改めて思いました。これからも精進していきます。

実に個人的な自己満な振り返りにここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。