2016/05/22熊本対水戸戦 チャリティサイン会レポート

2016/05/22に日立柏サッカー場で行われたロアッソ熊本vs水戸ホーリーホックの試合観戦と、ジャイキリの作者ツジトモ先生のサイン会に行ってきました。

ツジトモ先生のサイン会が告知されたのは、試合の3日前、5/18水曜日でした。昼過ぎの15時、突如発表されたチャリティサイン会の告知に大混乱する我々ジャイキリクラスタ

わたしも最初、ロアッソの公式ツイッターからの告知であることに混乱し、熊本でサイン会やるのかと勘違いしましたが、そうではなくロアッソのホーム代替地となる柏で行われるとのこと。

熊本対水戸戦が柏で行われることは知っていましたし、柏のスタジアムはレイソルがJ2だった2010年に札幌戦を観に行って以来行けていなかった(しかもその日はものすごい豪雨だった上にコンサに退場者が出て前半で3-0で心折れた忌まわしい思い出)ので、試合自体が気にはなっていたのです。

そもそも日立柏サッカー場は、ETUのホームである隅田川スタジアムのモデルになった素晴らしいスタジアムです。

支援のつもりでチケットを買い、ゆっくり試合が観れたらいいだろうなーと思ってはいたのです。でも当日は別の予定が既に入っておりまして、実際足を運べるとは思っていなかったのですが、そこにまさかのツジトモ先生。これは一生モノの体験になるに違いない。わたしの身体は震えました。

もともと約束していた友人にはお詫びをしてキャンセルさせてもらい(「ジャイキリのサイン会じゃ行くしかないな」と言ってくれました感謝)、家の近くのコンビニでバックスタンド側の券を購入。ついでにジャイキリ仲間で柏在住の友人かいとさんに声を掛け同行者もゲット。完璧です。

前日は早くに布団に入ったのに、興奮して寝れませんでした。

チケットを買った日もなかなか寝付けなくて、サイン会の夢を2回見ました。

ひとつはかいとさんが弱ペダの自作個人誌にサインしてもらってて(こいつ…イカれとる…!!)とドン引きする夢。のちに本人に話して大笑いしました。

もうひとつは、ツジトモ先生が何故か金髪のナニワ風な小太りのおばちゃんで、「あら~アンタ赤崎好きなの?ならサービスしちゃうわん」みたいなことを言われる夢でした。

どっちも、いかにわたしがサイン会を前に舞い上がっていたかが分かる内容ではないでしょうか。

さて、試合当日の朝。午前6時半に起床し、7時半の電車に乗り込みます。

わたしの知りうる限り、前回のサイン会は2011年、池袋開催(ツイッターに2008年と書きましたがそれは前々回のやつだったみたいです)。そのときは始発組で整理券が終了してしまいました。

本当は10時整理券配布開始の予定で、電話予約も受け付ける筈だったのが、早朝からの行列で近隣苦情が発生し、結局繰り上げ配布で10時を待たずに配布終了したのでした。

仕事が休めず電話予約に賭けようと思っていたわたしは、休みを取らなかったことをめちゃくちゃ後悔していたので、再びサイン会が催されることに喜ぶ反面、今回も始発組が勝利するのではないかと戦々恐々していたのです。

でも今回はチャリティ目的だしメインは試合なわけだし、始発で待機は会場側に迷惑すぎる…迷惑なファンになりたくない…ぐるぐる迷って、結局2時間前の9時に会場に到着するイメージで柏駅に8時半集合ということに。

いとさんと合流。もうETUのユニ着てる…!わたしもおもむろにユニに袖を通す。行くぜ、隅スタ!

のんびり歩いて、予定通り9時にサイン会会場に到着。……見事に誰もいねえww

恐らくここでやるのであろうレイソルマークつきのテントはあるのですが、机と椅子が置いてあるだけで人っ子一人おりません。

やっぱり始発で来なくてよかったー!とほっとする反面、これからどうしよう?ということに。

「近くにレイソルコラボしてるローソンがあるから、せっかくだし見に行こう」というかいとさんの提案で、スタジアムからのんびり歩くこと5分。住宅街の中にぽつんとあるローソンでレイソルグッズを眺めたり、コンビニコーヒーを買ったりなどして、ぶらぶら戻ってきたのが9時半頃だったでしょうか。

さっきまで無人だったテントに人が群がっている!!慌てて近寄る我々。

ちょうど原画展示の設営が始まるところで、ETUのロゴの入ったスタッフTシャツ(羽田くんがよく着てる黒いやつ)に身を包んだ男性・女性数人が、原画つきのついたてを立てようとしているところでした。

カラー原画はそのまま、白黒の本編原稿にはトレペでカバーがされており(トーンが剥がれるのを防止するため?)、そのカバーを外したりしているところ。……って、待って原画何の保護もされてないじゃん!!

驚くべきことに、生原稿が剥き出しでついたてに無造作に貼られているのです!!その美しさたるや。

原画の綺麗さ、無防備さに目を白黒させる我々に、スタッフの女性が「そのまま展示したいって、先生のご希望なんです」と。なんと太っ腹な!!神はマジで神なのか。

神が神なら、このスタッフの女性はさしずめ天使といったところでしょうか。フウ…ここが天国だったか…。天国は柏にありましたよ皆さん。

感動でぼんやりするわたしの目にふと、ついたてを置く位置や角度などを天使たちに細かく指示している若い男性が留まる。

天使たちと違ってETUのTシャツは着ておらず、フラボアとかで売ってそうなカジュアルなコットンシャツにカーキのくるぶし丈パンツ姿のおしゃれ青年。髪形は前髪切りすぎる前の湯沢みたいなマッシュルームヘア。見た感じ30代?でも若そう。声が大きめで、昨日忙しくて疲れてたけどレイソルの試合を観た~みたいな話を、関係者らしき男性と楽しそうにお話されてる。

その男性に天使が声をかける。「ツジトモ先生、この位置でいいですか?~~」とかなんとか。

……ぎょーー!神でした!現人神!!思ったよりフランクな感じの方です!!

わたしの中で、ツジトモ先生はヤマさんのイメージでした。なぜなら、モアイのホームページの自画像がちょっとヤマさんぽい感じだったからです。

でも実際の先生はもっと若くて、ほんと見た目は湯沢で、当日見聞きした感じのご性格の印象は、意外というかやはりというか、達海のような感じの方でした。

飄々として、よく笑って、少し毒っけのあるジョークも飛ばしたりして。でもこのすごい企画を淡々と、まるで当然のことのようにこなして、あのパワフルな作品を黙々と生み出し続けている人なんです。

その職人っぷりはまさにタッツミー。すごいことを成し遂げつつ、パッカ(の中の人)やスタッフをイジったり、お客さんとサッカーの話をして笑って。

達海さんって現実にいたんだ…。わたしには本当に先生が達海さんに見えましたよ。超かっこよかったー。

さて、話は原画展示に戻ります。

ツジトモ先生の原画展示は、書店さんなどでもたびたび企画されていたことがあり、何度か足を運びましたが、当然どこの書店さんでも額縁みたいなクリアケースに入れて飾ってありました。

でも今回は、本当にむきだしの生なんですよ。しかも野外。しかも撮影OK。ど、どういうことなの……??あまりの事態に手が震えて上手く撮れないよ!!たすけて!!

せっかくなので、写真を撮りつつ生の原稿を間近でじっくりと堪能させていただきました。朝早くは人も少なかったし…!

展示されていたのは今回の震災復興支援イラスト「from ETU」と、モーニング本誌やコミックスの表紙を飾ったカラーイラスト、本編原稿(34巻35頁、39巻140~141頁見開き)。最初見たときから後で来たら何点か増えてた感じがしました。

from ETUは全体的にさわやかで美しく、絵の具を厚塗りした表紙イラストは力強くて迫力満点。特に淡い色合いの作品は、日焼けしてしまわないか心配になりますが、ざっくばらんに展示されたそれらの作品からは、先生の強いメッセージを感じました。

先生は自らの作品を通じて、サッカーの楽しさを、国内リーグの、目の前で試合を楽しめる環境の素晴らしさを、常に訴えてこられたと思ってます。

展示されている素敵な作品たちは、目の前でキラキラ輝きながら言っています。「キミのすぐそばにあるスタジアムで、この絵のようなドラマがこれから待ってるよ」と。

先生のイラストを見て、サインを貰った人たちが、ひとりでも多くスタジアムで熊本の試合を観ますように。ロアッソのために、Jリーグの楽しさを伝えるために、先生はここでこの作品を惜しげもなく展示されてるんだ。そのことがビシバシ伝わってくる展示に、わたしはしきりに感動していました。

…と、かいとさんに肩を叩かれます。「きくらげさん!列できてる」

はっとして顔を上げると、既にサイン待ちの行列が。慌てて列に並びます。会場到着はいちばん乗りだったのに、出遅れたー!!

それでも我々の前には、確か10名いなかったと思います。我々が並ぶと、うしろにどんどん列ができていきます。

そして午前10時。おもむろに天使たるスタッフさんが「それでは今から始めまーす」と。恐らく先生は、たくさんの人にサインをしようと開始を繰り上げてくださったのでしょう。

開始時刻の1時間前に始まったサイン会。最初の男性は、カバンからETUのレプリカユニを取り出し、机に置いています。それを見て慌てて「そうか!」とユニを脱ぐわたし。

ユニにサインしてもらおうと思ってたんだけど、なんだか汗で湿ってるし、うーーーーん。やっぱり念のため持ってきたコミックスにしてもらおうかなあ…と悩んでいると、んん?ずいぶん時間かかってるな。名前描くだけじゃないの?

わたしの前で待っているかいとさんが小さく叫びました。「ちょ!達海描いてる!!」まじで!!??

わたしは後ろを振り向きます。どんどん伸びる待機列。うそ。一人一人にキャラ描くの?めっちゃ大変じゃん。最初の人だけのサービスじゃないの??

ユニに白いペンで描かれた達海さんが完成し、先生と握手し、一緒に写真を撮ってもらって去る男性。次の男性も、確かユニだったと思うんですが……やっぱりキャラ描いてもらってるみたいよ???キャーーーーー!!!

大興奮するわたしとかいとさん。不審がられないよう小声で(でもスタッフさんにはめっちゃ聞こえてたと思う)「ウワー誰にしよう!?」「やばいやばいやばい!!」と震えます。

ちなみに誰にしようかで迷っていたのはかいとさんです。わたしの心はとうに決まっておりました。当然ですよね。彼しかいません。

いとさんは夏木と世良と、それから堺さんとで悩んでました。結局、ユニの背番号は夏木にしたしということで世良に決定。

その頃には我々の前にロアッソの募金箱が。感謝の気持ちでお金を入れます。気張った額にしたつもりだったけど、こんな素晴らしい思いをさせてもらったんだからもっと気張ればよかったとやや後悔しているリトル愚かなわし。

そうこうするうちに、かいとさんのひとつ前の女性まできました。そこまではなんだかあっという間で、我々の前の人たちが誰描いてもらったかで盛り上がったりで忙しく、全然待ってる感じじゃなかった。

いとさんの前の女性、先生に「誰描く?」と訊かれ、悩んだ結果「ではお任せで」と言いました。すると先生が、「お任せだとパッカになるけど、いい?w」と。それに対して女性は、どうやら人間のキャラがよかったようで「うーーん、じゃあパッカ以外で」と。

先生の後ろで気落ちするパッカをイジる先生。大笑いするスタッフ。……なにこのアットホームな雰囲気!

結局その女性は達海を描いてもらい、笑顔でパッカと写真撮影。ドンマイだパッカ!

さあかいとさんの番!ETUのレプリカジャージを広げて、世良をリクエストします。

「あの、先生が描いてるところ撮ってもいいですか?」と勇気を出してお伝えしたわたしに、顔を上げず「どーぞー」と。なんて寛大!!

大喜びで携帯カメラを起動。動画にしようかななんてウキウキしていると、ここでまさかのアクシデント!!

なんとこの土壇場でiphoneの容量が足らず、写真を保存できませんという悪魔の表示が!!!なぜ!!!なぜ今なんだ!!!(海南大付属との試合中に怪我をして呻く赤木の表情で)

慌てて直近撮った不要の写真をごみ箱に叩き込む作業に追われるわたし。つっても神原画の写真は消せないし、遡って作業しないと……ああああ時間ない!うぐぐかいとさんごめんよーーーっていうかマジ!!!まってくれよ!!なぜ今なんだーー!!

わたしが青くなってそんなことをしているうちに、かいとさんのジャージに世良のイラストが完成。

先生の前だというのに思わず「かわいいー!!」と叫んでしまったかいとさんとわたし。しまった。かっこいいとかにすればよかった。まあでも世良だし…。すみません。ほんとオタク丸出しでごめんなさい。ううう。

なんとかデータを整理し、かいとさんと先生の写真を撮影。握手するかいとさん、「東京ダービー楽しみにしてます!」と先生に伝える。先に言われたー!!

さー遂にわたしの番ですよ。ユニではなくコミックスを出しました。26巻。結局、一番好きな巻にしました。千葉戦の名シーン、「駄目だ俺は…後半外される……」の巻です!そのあとダイレクトボレーを決めて、「っしゃあ!!」の巻です!!

先生の前に26巻を差し出し、あらかじめ書いておいた自分の名前の紙を置き。震える声で、おごそかにお伝えしました。「赤崎をお願いします」と。本当に、神に祈るようなきもち。

「はーい」軽く返事された先生、わたしの大好きな26巻に、赤崎を描いていきます。先生の手は男の人の手って感じで、あんな繊細な絵を描かれたりするのに、無骨な職人の手でした。震えて撮影させていただくわたし。

き「……あの、from ETUありがとうございました。毎日勇気をいただきました」

神「ありがとーございまーす」

き「連載も、コミックスもお忙しい中で、ありがとうございます」

神「はーい」

き「…あの、くれぐれも、お体大事になさってください」

神「ありがとー」

神「…このあと試合観て行かれんですかー?」

き「あっはい行きます!もちろん(首から提げていたコンサのホルダーに入れていたチケットを提示)」

神「あっそうなんだ!(少しテンション↑明らかに作品のファン風で、早い時間から並んでいた我々は試合を観ずに帰るんだろうと思っていたのかも?)」

き「(ホルダーがコンサなので主張)あの、(わたし)コンササポなんです」

神「(少し顔を上げ)お!そうなの?まだ首位?」

き「首位です!今日も勝ちますよ!!」

神「今日の相手、どこ?」

き「讃岐です!」

神「札幌、今年いいよねー。都倉いい選手だよね」

き「都倉いいですよね!」

神「都倉面白いしね。変な人だよね」

き「バロテッリのパフォとか」

神「和製バロテッリだからね」

き「でも今回は昇格じゃなくて残留が目標なんです!」

神「J2残留?ww(笑うスタッフ)」

き「(慌てて)違いますJ1です!」

神「2年いたことないじゃん」

き「今回上がったらもう落ちません!(←叫ぶ。テンションは五輪代表組の前で、またこのチームに戻ってくる!!って宣言する赤崎である)」

神「(笑)」

このへんで赤崎が完成。震える手で受け取り、撮影してもらい。握手してもらう。

き「暑いので、お体に気をつけて頑張って下さい!!」

はあはあ。おおむねこんな感じでした。もう喋りすぎだろ自分。勢いあまってべらべら喋ってるうちに赤崎が完成していた。先生はざっと輪郭のさわりを描いてから眉と目を描く、という順番で描いてらっしゃいました。赤崎の髪型は、こんなにおしゃべりしながら、さっさっさって描いたのにどう見ても間違いなく赤崎で、いつまでもわたしの手は震えていました。

いとさんと一緒にパッカと写真撮ってもらっても、そのあとまたあいぽんの写真整理してる間も、ずっと手がふるえっぱなしでした。

赤崎と世良の直筆イラストを前にし、もうサイコーとシュージンみたいに向かい合って吠えまくる我々。勢いでそのまま珍来にビールを飲みに行く。夢のような気持ちでした。

せっかくだからもっと長居して先生のお仕事を拝見させていただけばよかったけど、混んできたのと混乱してたのとで、もう「飲むしかない!!」みたいな感じに。

そこから試合までぐだぐだして、飲んで、友達に会って話し、ああ、もう酔っ払って途中から記憶は曖昧になっていきます。ていうかさすがに疲れてきたのでこっからはダイジェストで。

試合はバックスタンド側の水戸寄りの席で観ました。8000人越え、素晴らしいですね。ツジトモ先生と高橋先生が呼び込んだお客さんも相当数いたと思います。先生方は本当に暑い中、お疲れ様でした。

水戸サポのダンマク、ロアッソコールに胸が熱くなりました。水戸寄りで観たものの、熊本でキャプテンを務めている元コンサの岡本選手が後半こちら側のゴールに向かい疾走してきたときには、思わずヤスー!!と叫んでしまいました。

熊本には残念な結果になったけど、選手たちの戦う姿には胸を打たれました。コールを交し合うサポーターの姿にも。日立台はやっぱり、素晴らしいスタジアムだった。風が気持ちよかった。選手との距離がとても近かった。

夢見心地で帰路につき、帰りの電車、常磐線の中で疲れからか、黒塗りの高級車に追突したかのごとく、突如涙が溢れだしました。

先生と、コンサの話ができて嬉しかった。先生に、J1残留を誓えて嬉しかった。描いてもらった赤崎は一生の宝物です。

振りきれたテンションで、あまりのめくるめく一日についてこなかった感情が唐突にあふれ出したみたいに、ぼろぼろ泣いてるわたしは相当気持ち悪かったと思うし、ツイッターになにやら書きながら泣いてるからフラれた人かと思われただろう。でもどうでもいい。とにかくすごい一日だった。思いが溢れて止まりませんでした。

という感じです。

忘れないうちにと思って書いていたのですが、思った以上に長くなりました。

ここまで読んでくださった方、少しでも雰囲気が伝わったでしょうか?

先生が自分の作品と同じかそれ以上にサッカー文化を愛してらっしゃること、とても伝わりました。わたしもその文化の一部としてスタジアムに在れたことを誇りに思います。

どうか熊本に、サッカーを楽しめるような当たり前の日常が早く戻ってきますように。

最後までお読みいただきありがとうございました。