オタクの転機

一日一更新、二十二日目。

~前回のあらすじ~

小学生のとき運動苦手な幽白オタクだったわたしは、スポーツマンガであるスラムダンクに謎の敵愾心を燃やしていた。しかし高校生になって転機が訪れる…

特に、親戚の集まりでいとこと会った時に、「スラムダンクに嫉妬してるんでしょうwww」みたいな感じで煽られたの未だに覚えてますね。事実そうだったのだが、それを陽キャリア充から指摘されるの一番こたえた。なにもそんなストレートに言い当てなくてもいいでしょうに… 子どもというのは時として残酷なものです

なお、わたしがどれくらい幽白が好きかという話は過去記事(もう7年も前になるのか!)に詳しいので、そちらも併せてお読みください↓

kozarubiyori.hatenablog.com

さて、そんな風に愛していた幽白も残念ながら連載が終了し(その日のことは未だに覚えている…)、アニメも終わり(魔界統一トーナメントの詳細を描いてくれて感謝しかない)、いっぱい出ていたアニソン・サントラ関連もリリースが終わって、それでもまだファンロードを買い続けたりとしばらくオタクとして活動し続けていたわたしですが、じき高校生になるという段階でついに「このままではいかんのではないか」と思い始めました。

小・中と近所でも有名なオタクだったわたしが、高校デビューを図ったわけですね。

高校デビューといっても別に髪を染めたり制服を改造したりみたいな大胆な行動に出たわけではないのだが、中学に入ってからオザケンさんをきっかけに音楽(邦ロック)に目覚め、高校入試前に深夜ラジオを聴いていたこともあって「高校では、音楽好きの友達ができるといいなあ」「そのためには服とか…もう少しましにしないといかんか…」ということにうっすら気づき始めたわけです。初めてファッション雑誌を買ったのも中三だった気がする(ノンノを買った。初心者はやっぱりノンノだ。今だと何だろう…?)

そして高校生になり、入学式で近くの席のオシャレな女の子(今も仲良くしてくれている。ラブ)に強引な展開で話しかけその子と同じ部活に入り(放送部。別にさほどオシャレな部ではないが、音楽を好き放題聴けるし楽しかった。今も仲良し)、ほどよく脱オタすることに成功しました。いい具合の距離感でマンガやゲームをたしなみ、同人誌は買わず(過去買っていたなどという話もせず)、仲間たちと好きなアーティストの情報交換などしつつ部活に励んで青春を謳歌していたわけでありますが、そんなある日、とうとう転機が訪れます。

スラムダンク全巻が、放送部室に忽然と置かれていたのです。

元々部室は、割と無法地帯のような場所でありました。飲酒喫煙などの違法行為や性行為などには及ばないが(そういうタイプの学生たちでは全然なかった)、常時暗幕の敷かれた放送室にはなぜか小型テレビが置かれていたので、放課後にスーパーファミコンを持ち込んで桃鉄を延々遊んだり、エヴァンゲリオン全話一気見とかしていた。古畑任三郎踊る大捜査線も、全話部室で見ましたね。楽しかったなー

そんな場所だったので、みんなでいろんなマンガを持ち寄って読み合っていた。わたしは神聖モテモテ王国(バイブル)とか当時連載が始まったばかりのワンピースなど持ち込んでいた。なので、スラムダンクがあっても何らおかしなことではなかったのです。

数年前まで忌み嫌っていた、食わず嫌い作品であるスラムダンク。しかし高校生当時のわたしは、かつてオタクであった頃の自分と距離を取ろうとしていたこともあり、読んでみてもいいかな?という気持ちになりました。なにより、オシャレな女友達(入学式にいきなり話しかけた子)が「まだ読んだことないんだ?面白いよ!」と太鼓判を押してくれたこともあって、この子がそう言うのだから読んでみようかと思ったわけであります。

で偏見なしに読んでみたら、これがもうめちゃくちゃ…めちゃくちゃに面白かった。いやーこれは人気出るわーと思いましたね。

夢中で一気読みしました。授業中も我慢できず教科書で隠して読んでいた。あんだけ夢中でなりふり構わずに読んでれば絶対バレてただろうと思う。

あまりの面白さに、山王戦大詰めのところで「ねー遊ぼうよー」と絡んできた前述の友達がウザすぎて「あんたと遊ぶよりスラムダンクの方が面白い」とひどいことを口走った。未だにその件を弄られる。いや本当に申し訳なかったです。…でも山王戦初読だよ!?オタクにはそれがどれほど重要な時間だったか分かってもらえると思うのだが、でも彼女はそもそもオタクじゃないからなあ…本当にすみませんでした。言い方よ。

何はともあれ、わたしは高校生にして無事にスラムダンクを履修し、食わず嫌いアンチから逆転してファンになりました。

わたしがスラムダンクから学んだことは、「別に命をかけて戦っているから尊いのではなく、何かに全力を注いで生きることは等しく尊いのだ」ということです。

命がけで妖怪と戦う浦飯幽助も、バスケに全力を注ぐ桜木花道も、どちらも尊い。どちらの生き方も輝いている。ということ。スラムダンク以降、わたしはスポーツマンガが好きになり、実家にあって読んでなかったあしたのジョーにも、おおきく振りかぶってにもハマることができた。そして今、無事同人誌を読んだり書いたりするオタクに戻り、スポーツマンガであるジャイキリで活動している。

あのとき、スラムダンクを食わず嫌いのまま放置しなくて本当に良かったと思っています。

後編は長くなった。最後まで読んでくださった方(いるのかな?)ありがとうございました。